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2月7日は、久しぶりによりよい人間関係をめざすBCBプログラム一日入門セミナーを行ないました。
BCBプログラムは、米国を中心にコミュニケーション分野で国際的に活躍をしているエーブ・ワーグナー氏が、TA(交流分析)の自我状態という概念を使って人の行動を観察し、NLP(神経言語プログラミング)を活用して自分と相手の理解を深めることを目標に作ったものです。
体験学習を含めたいろいろなコミュニケーショントレーニングを行ないましたが、ご参加者の方々の気づきや思いがけない新しい方法が見つかるなど、体験学習ならではの活発な雰囲気のセミナーになりました。
実習の一つに、相手からの攻撃的な言葉や否定的な言葉にどのように対応するかという練習がありますが、ご参加者が見つけたとても好評を得た実例を一つご紹介したいと思います。
練習の課題は、「あなたは、私より仕事が大切なのでしょう。私のことなどどうでもいいのよね!」という妻からの攻撃にどう応じるかです。多くの人は、このような場合に「そんなことはないよ。あなたの方が大切だよ。」というようになだめようとするか、「ここのところ忙しくて、仕事ばっかりになって申し訳ない」などと言い訳や謝罪をしがちではないでしょうか?
BCBプログラムでは、このような時に「交差交流」という方法で対応します。相手の否定的な攻撃に対して、こちらは肯定的に反応するのです。否定に対して肯定で受ける、つまり交差させる交流という意味です。
そのように応じられると、相手は思いがけない反応にある種のシフトがおこして、攻撃をやめて落ち着きを取り戻すのです。
この例では、「私は、あなたのことを愛しているので、あなたにそんなふうに言われると、少し辛いし悲しい気がします」と応じた方がいました。体験学習でのやりとりですが、笑いながらも「結構インパ
クトがありますねと」意外な効果に驚いておられました。
チーム医療の梅本です。
相変わらず、むし暑い毎日に悪戦苦闘しています。
さて、今日は営業の電話をかけるのが苦手なTさんのことを考えてみます。Tさんは、規顧客の開拓や新しい仕事の受注のノルマに苦労しています。
T さんは、営業電話をかける前は、いつもすぐに気が重くなってしまうのです。気が重くなっているのですから体の活力も下がっています。しかし、意識はそれを認めずになんとか自分を奮い立たせようとします。ところが、いくら意識的に「落ち着くのだ!」「これだけ準備したのだから、それを言えばいいのだ!」などと自分に言い聞かせても、体(無意識)はすでにそれを受けとめられないという状態にあるのです。
以前、私達は、自分以外の人々とのコミュニケーションだけではなく、自分自身ともコミュニケーションしているというお話をしました。Tさんの事例は、まさに自分自身とのコミュニケーションの例です。
そこで、私はTさんに営業電話をかける前に、どのようなことを考えているかについてお話していただきました。
Tさんは、次のように自分の悩みを話してくれました。
(1)電話をかけると、相手は嫌々話を聞いている気がする。
(2)相手は、忙しいのに電話に出てくれているのではないかと考えてしまう。
(3)仕事の話をしたい人に、なかなかつながらないのではないか?と思う。
このような考えをしていれば、その時に湧き上がる感情・気持ちは当然否定的になってしまいます。事実Tさんは、いつも「不安」「緊張」「自信がない」と感じると言います。
次に、Tさんにどのような状態・気持ちでいたいのかを聞いてみました。
その返事は、「前向きな気持ち」「リラックス」「自信」です。では、この「前向きな気持ち」「リラックス」「自信」にアクセスしたらどのような考えが浮かぶでしょうか?
Tさんの答えは、次のようなものです。
(1)電話をかけると、相手はちょうどよかったと言ってくれる。
(2)ゆっくりと話せる。
(3)相手の話がよく聴ける。
このTさんとのやりとりから、Tさんの自分自身とのコミュニケーションの内容はお分かりいただけたと思います。Tさんに必要なことは、電話をかける前に、「前向きな気持ち」「リラックス」「自信」にアクセスしてから、電話をかけることです。
Tさんは、いつか自分自身と肯定的なコミュニケーションを繰り返すことによって、電話の苦痛から開放されるはずです。
いよいよむし暑い日々が続く気がするこの頃です。
さて、NPOの組織の中で、おこっている人間関係の問題の例です。Aという若い理事が、年上の理事達に対して「高飛車」に話をするので、理事会の人間関係がうまくいかないのです。そのことをS理事は、以前から心配しています。
Aは優秀な若手理事なのでAがいないと、いろいろな事業もうまく進まないのですが、しかし、S理事はAの傍若無人ともいえる態度によって理事達との人間関係が悪化している状況では、今後の理事会運営がうまくいかないと悩んでいます。
このような場合の対応例を、S理事の若いA理事へのアドバイスの仕方の例として、お示したいと思います。
S理事「Aさん、相談したいことがあるので、時間をもらえますか?」
A理事「いいですよ。何でしょう」
S理事「今、私たちはともに公益事業の推進に尽力しています。特に、Aさんの役割は大きく、大変だと感じています。そんな中、私は、Aさんが時々理事や理事長とやりあっているのをみて、不安を感じることがあります。少なくとも私には、今の関係がよい関係だと思えなくて、気が重くなるのです。」
(このように言うと、Aさんは言い訳や自分の考えを話始めると思います。そこで、すかさず、次のように応じます。)
S理事「ちょっと待ってください。私は、Aさんを責めているのではないのです。私は、Aさんと一緒に、私たちの事業を成功させたいので、そのための相談をしたいのです。
私は、Aさんがどんなに努力されているかよくわかっているつもりです。だから、どのようにしたら、他の理事や理事長にAさんを理解してもらえるかを考えたいのです。」
A理事「そうですか。分かりました」
S理事「私は、最近のAさんは、他の理事たちにきちんと理解されていないと思いますし、このままいくと、よくないと感じています。Aさんは、私の懸念をどう思いますか?」
A理事「確かに私も、よい状況だとは思っていませんが・・・・」(また、言い訳を始めたら、もう少し私の話を聞いてくださいと言って止めます。)
S理事「そこで、私の相談は、私やAさんは、理事たちに今後どのようなやりかたで接していけばよいかということなのです。私もそうなのですが、年上や過去に重要な立場についていた方は、年下の者から「尊重されている」と感じないと、どんなに正しいすばらしい意見や考えを説明されても、言い方に「カチン」ときてしまいます。だから、私は、できれば、Aさんにも他の理事達から反感をかわないような接し方をしてもらえないかと思っています。なぜなら、私は、このままAさんが「生意気だ」とか「カチンくる奴」だと思われて欲しくないからです。」
A理事「私は、生意気だと思われているのですか?」
S理事「全員の方が、そう思っているのではありませんが、私のみるところかなりの方々がそう感じている気がします。私たちの共通の目標達成のためにAさんのやり方を変えるということは、Aさんにとって、納得できないことでしょうか?」
A理事「私も、生意気だと思われたくはないですが・・・」
S理事「もし、私との相談に価値があると思ってくれるなら、今後の接し方について、一緒に考えて欲しいのです。もちろん、私の言うことに納得できないと感じるのなら、Aさんのお気持ちを尊重できる他の方法を一緒に考えたいと思います。」
A理事「わかりました。」
このようなやり取りなら、A理事も耳を傾けてくれるのではないでしょうか?
ところで、私は、名古屋で下記のセミナーを行ないますので、ご都合がよろしければご参加下さい。
http://www.iryo.co.jp/q1610.html
http://arad.co.jp/
◆◆ 名古屋で行なう「人間関係改善のための1日入門セミナー」 ◆◆
テーマ:「よりよい人間関係とコミュニケーションスキル」
日 時/平成21年8月8日(土)10:00〜16:30
講 師/梅本 和比己
今年平成21年から、杉田峰康先生の新しいプログラム「スーパービジョンワークショップ」が、3月7日(土)〜8日(日)から始まりました。
http://www.iryo.co.jp/q1209.html
このワークショップは、25年前から継続開催している「再決断療法」のご参加者の方に、この技法をマスターしていただくことを目的に今年から開催することにしたものです。
交流分析は、この数年の間に新しい考え方や技法が考え出されており、今新しい展開を迎えています。
新しい動きの一つは、イギリスの心理療法家によるもので、精神分析の理論をより組み込んだ理論・技法です。詳しくは、ヘレナ ハーガデン, シャーロット シルズ (著), 深澤 道子 (監訳)「交流分析―心理療法における関係性の視点」をお読み下さい。
このワークショップは、精神分析の「転移」や「生育歴」のお話から始まりましたが、杉田先生が言われた「ゲームは転移が源である」という言葉が、今も私の脳裏に焼きついています。ゲームを転移と考えれば、いろいろなことが明確になる気がして、とても納得できたからです。
この研修は、今後も行いたいと思い今どのような形で運営するか検討中です。できれば、「スタディグループ」を作って、継続的に学べるようにしたいと考えています。